ガス切断とは?【はじめての人向け】
江戸川区 有限会社 藤井商店
藤井直樹と申します。
@fujii_shoten
この記事はこれからこれから
ガス切断を学習しようとしている方
ガス切断の仕事をしようという方に
に向けて必要な機器の仕様手順と
コツ、資格について
一番やさしく
解説いたします。
ガス切断のコツ
楽しく仕事をすると
必要なことは全て覚えられます。
技術を知っていれば、仕事が楽に
もっと楽しくなります。
以下は必要な技術の話です。
ガス切断とは?
母材を切り落とす方法です。
鉄との化学反応を利用しています。
使用されていますが
解体ではプロパンガスが
主流となってきています。
ガスが使用されています。
- 天然ガス
- プロパンガス
- 水素
ガス切断の原理とは
「酸化・燃焼」という化学反応を利用しています。
ガス切断は可燃ガスに火をつけて鉄の母材を
熱しただけでは切れません
「酸化」とは、物質と酸素が化合することを言います。
鉄が錆びるのは、鉄が酸化してしまうからです。
身近にある酸化の原理を利用したものに
使い捨てカイロがあります。
激しく酸化することを指します。
燃焼もまた酸化の一種で、
ガス切断は燃焼の原理を意図的に
作り出して行う切断方法です。
切断をする時は、あらかじめ
母材の切断する部分を
800〜900度程度に熱しておく
必要があります。
熱した時に鉄は酸化しはじめており、
熱したところに火を当てながら
高純度の酸素を吹き付けると
燃焼が発生し、
鉄が液体(融解)になります。
熱して液体になる温度(融点)が低いため、
高純度の酸素を当てている
部分だけが液体化します。
固体の鉄と液体の鉄が
接している部分(界面)でも
燃焼が起こり、次々に個体の鉄が燃焼して
溶け出していきます。
液体になった鉄を吹き飛ばす
役割も兼ねていますので、
また新しい
地肌が出てくるのです。
火を当てながら
繰り返して行うことにより、
部材の切断ができるのです。
切断したい部材の構造全体には、
大きな影響を与えずに
切りたい部分だけを
溶かしきれるのです。
ガス切断の特徴
ガス切断は、大きく分けて次の
5つの特徴があります。それぞれについて解説します。
- 必要機材が少ない
- 電気を使わない
- 精度は作業者の熟練度に影響される
- 切断速度が遅い
- 母材を温めておく必要がある
特徴1.必要機材が少ない
ガス切断の特徴の一つ目は、
他の切断方法に比べると必要な機材が
少ないことです。
ガス切断に必要なものは、
以下の4点です。
以下を揃えるだけでガス切断が可能です。
- トーチ(手持ち式のバーナー)
- 酸素ボンベとアセチレンボンベ
- 圧力調整器(酸素とアセチレンの圧力を調整します)
- ホース(ボンベとトーチをつなぐ役割をします)
特徴2.電気を使わない
レーザー切断)との
決定的な違いは、
電気を使わないこと。
導入費用が安価で済みます。
場所が決まっており、
メンテナンス性も良く
なっています。
特徴3.精度は作業者の熟練度に影響される
部材の切断面は荒くなる傾向があるため、
作業者の熟練度に影響されます。
ガス切断における熟練度とは、
以下で判断します。
- 部材を厚みにより火の強弱と切断スピードを見極めて作業にあたれるか
- 切断する時に腕のブレがないか
また、ガス切断は直線だけでなく、
曲線や円など比較的自由な形状に
切断が可能です。
ガス切断機を使用することもありますが、
まだまだ細部までは対応できないため、
熟練の職人が必要とされる場面もあります。
特徴4.切断速度が遅い
ガス切断は他の切断方法
(アーク切断、プラズマ切断、レーザー切断)に
比べると切断速度は遅くなります。
また、ガス切断は部材を切断している時に
火花は出ますが閃光は飛びません。
特徴5.母材を温めておく必要がある
ガス切断は切断する母材を
あらかじめ温めておく必要があります。
温めをせずに切断すると母材全体が熱せられ、
熱による変形が起こる可能性があります。
その際の熱変形の大きさは、
プラズマ切断とレーザー切断よりも
大きくなっています。
部材が伸縮することをいいます。
どのようなものを切断するの?
切断は可能ですが、
鋼鉄の切断にはガス切断が
用いられます。
厚い鋼鉄を切断することに特化しています。
50mm程でそれ以下になると
他の切断方法が向いています。
薄いものから3,000mmの
分厚いものまで切断可能です。
原理上どんなに厚くても切断可能です。
真鍮などの酸化しにくい部材は、
ガス切断の原理で考えると不向きです。
「切断」というより「溶断」
に近くなってしまうため
不向きと言えるでしょう。
ガス切断の手順
ここからはガス切断の手順について解説します。
徹底することが大事です。
トーチ、ホース、ボンベに異常は
ないかも目視で確認しましょう。
アセチレンボンベの2本が必要です。
小さい茶色のボンベがアセチレンボンベです。
液体ガスが入っているため、
ボンベを寝かせて使うことは
絶対やめましょう。
以下に注意する必要があります。
危険物ですので適切な方法で
取り扱いましょう。
- 高温になる機器のそばに置かない
- 直射日光の当たる場所に置かない
手順1.ガス切断の機器の準備
まず服装の準備をします。ガス切断の前に次のものを揃えましょう。
・前掛け
・革手袋
・保護マスク
・安全靴等
あなたの身を守る 最後の砦(とりで)です。
火をつけるまでの機材の準備は、以下の3点です。
- ガスボンベとアセチレンボンベに圧力調整器を取り付ける
- ホースとトーチをつなぐ(「カチッ」という音がなるまでしっかり差し込んでください)
- ボンベの開栓、ダイヤルを時計回りに回して圧力調整
アセチレンボンベも同様に準備します。
ガス漏れがないかを点検します。
手順2.ガスを出し火をつける
トーチには以下の3つのバルブがあります。
まず、この3つのバルブが閉まっているか確認しましょう。
- 燃料ガスバルブ(ガスバルブ)
- 予熱酸素バルブ(混合バルブ)
- 切断酸素バルブ(高圧酸素バルブ)
アセチレンガスを出します。
アセチレンガスが出ていますので、
専用の着火材で火をつけましょう。
「点火ライター」を使用してください。
持っていないからと言って
市販のたばこ用ライターを
使用するのはやめましょう
炎の噴射時に手に火がかぶります。
革手の表面が焼け焦げます。
手順3.火を調節する
予熱をする火をつくるため、
予熱酸素バルブを開きます。
火の目安として、
トーチの噴出口から出ている青い火が
1cmくらいの長さになる
まで調節してください。
手順4.鉄などに近づける
火の調節が終わったら、
母材の切断をする箇所を熱します。
火を当てている箇所が赤くなってきたら、
そのまま火を当てながら
切断酸素バルブを開きましょう。
酸素を当てた瞬間から
燃焼が始まりますので、
切断する形に沿って
火口を移動させましょう。
逐一閉じてください。
手順5.消火から片付けまで
大まかに手順1から手順4までを逆の手順でやっていきます。
ダイヤルまで閉め終わったら、
圧力調整器のバルブを開いて
トーチの3つのバルブも開きます。
ホース内にあるアセチレンガスと
酸素を完全に抜きます。
してからホースとトーチを取り外していきます。
ガス切断のコツは?
ガス切断をする際のコツは以下2点です。
- ガス切断は、切断する鋼鉄の厚みによって火力とスピードを調節することが大事。
- 切断時は火口を進行方向に対して少し傾ければ「パンッ」と音が鳴りません。
火力を細く調整して素早く切ることです。
板厚が薄いと母材全体に熱が伝わりやすくなるため、
火力が強すぎたり、切断スピードが遅すぎると
うまく切断できずに溶けたように引っ付いた
状態になります。
火を進行方向に傾けて火を当てることで、
擬似的に板厚が増します。
斜めに穴を開けてから火口を垂直に
戻して切断に入ると
綺麗に切断できます。
鉄筋を切断する時は、
予熱をして端から飛ばすように
すれば上手く切断できます。
ガス切断に必要な資格
ガス切断をする上で必要になる資格は 「ガス溶接技能講習」です。
ガス溶接技能講習を受けると、
ガス溶接技能講習修了証が交付されます。
また、「ガス溶接技能講習」
は18歳以上であれば誰でも受講できます。
呼ばれており、資格取得してから
実務経験を積むとガス溶接作業主任者免許試験の
受験資格を得られます。
キャリアアップが可能です。
技能講習は2日間の日程で行われ、
講座は学科・実技の講習を受けます。
試験を受ける決まりとなっており、
6割以上正解が合格の条件です。
ガス溶接技能講習
- 法令
- 酸素やガスの知識
- 施設、設備の構造や取り扱い方法
講習内容をしっかり理解しておきましょう。
基礎知識がなくても全く問題ありません。
試験の内容も講習をしっかり
聞いていれば比較的簡単です。
ガス溶接技能講習を必要とするのは、
以下に関わる業務です。
- 金属加工
- 切断
- 溶接
自動車工場や建設現場などが主で、
まれに鉄工所などもあります。
まとめ
ガス切断の特徴や方法について解説しました。
資格を取るのは比較的容易ですが、
ガス切断では危険物を扱います。
しっかりとガス切断に関しての
正しい知識と理解を深め、
作業をしましょう。
【ガス切断の特徴】
- 必要機材が少ない
- 電気を使わない
- 精度は作業者の熟練度に影響される
- 切断速度が遅い
- 母材を温めておく必要がある
【ガス切断の手順】
- ガス切断の機器の準備
- ガスを出し火をつける
- 火を調節する
- 鉄などに近づける
- 消火から片付けまで
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